平成20年6月5日 琉球新報掲載
那覇市は住民に向き合え
おもろまち超高層マンション群建設計画は那覇市が作成した地域再生計画の事業である.というよりも「市行政は市役所予定地であった公有地に超高層マンション群を建設するために,都市計画までも捻じ曲げて地域再生計画を作成した」という方が本質を表している.
この事業計画が実行されると,民家の目の前の工事としてはこれまでに例がないほどの危険なものとなり,長年に及ぶ工事期間中,近隣住民は騒音と埃にまみれ心身共にむしばまれる生活を余議なくされる.そしてようやく工事が完了しても生涯苦痛から解放されることはなく,自宅のすぐ目の前に136mもの超高層ビルが立ちはだかり,耐え難い圧迫感,恐怖感を受けることになる.また交通渋滞やビル風,日照不足など住環境の悪化は必至で,とりわけ子供たちの安全の問題や彼らの精神,身体に及ぼす悪影響は深刻と考えている.
生活に大きな影響がおよぶ近隣住民に全く情報を与えず,突然,都市計画違反の事業計画を突きつけ,その事業計画に合わせて都市計画を変更したことは,市民の生活を守るべき行政として明らかに間違った行為である.都市の健全な発展と秩序ある整備を図るために都市計画を遵守するようにと住民や事業者を指導,規制してきた行政によって,そのまちづくりのルールがいとも簡単に破られてしまったことに強い憤りを感じる.
私達はこれから自宅の目の前で行われようとしている「那覇市の地域再生計画の事業」について,しっかりと協議をしたいと思い,企業が主催する事業説明会に2度参加したが肝心な那覇市が住民との対話を拒否したため,会は紛糾し結局いずれも事業説明は行われなかった.
私たちは那覇市行政が積み重ねた数々の不正な手続きをすべて白紙に戻し,この土地に本当にふさわしい事業を市民全体の自由な意見交換によって検討し直すことが最善策だと考えている.しかし,だからといって業者との対話を拒んでいるわけではない.むしろ那覇市も含めて形式的ではなく実質的な対話を重ね,何とかしてこの問題の解決策を探りたいと強く望んでいる.
「市が事業説明会に参加し住民と業者の仲介役を果たす」という土地売却前の約束を守ってほしいという住民の訴えに市側の正式な回答はないが,新聞報道によると「係争中であること」を理由に市は住民との対話を拒否しているようである.「住民訴訟が起こったから地域再生計画を中止する」あるいは「裁判終了まで事業計画を凍結する」というのであれば理解できるのだが,係争中を理由に那覇市の地域再生計画の事業を本土大手民間企業のみで好き勝手に進めてよいという理屈は全く通らない.
市長側から「おもろまちの問題が政争の具にされている」との声が聞こえてくる.しかしそれは問題解決のため最大限の努力をしているのに,反対勢力が話し合いのテーブルに着かず,問題を政治闘争に利用された場合に使う言葉である.自らの失政に対する批判に反論できずに議論から逃げまわっている政治家が使う言葉ではない.
「おもろまち一丁目住環境を考える会」知念徹治 |