不活化ポリオワクチンについて



はじめにお読みください
予防接種の受け方を決める際には、1) かかりやすさ、2) かかった場合の重症度を考慮する必要があります。ポリオは30年以上野生株の発生はみられていませんし、生ワクチンによる周囲への二次感染も、ヒブや肺炎球菌による重症感染症や、三種混合ワクチンに含まれる百日咳、麻疹(はしか)と比較すれば、確率的にはかなり低いものです。ですから、これらのワクチンがまだの場合には、不活化ポリオワクチンより優先して接種してください。
また福岡県内の在住の方であれば、同時接種も行っております。予約の際に御希望をお知らせください。
 
1.ポリオワクチンの必要性
急性灰白髄炎 (ポリオ) は、ポリオウィルス(1型、2型、3型)の中枢神経への感染により引き起こされる急性ウィルス感染症で、一般的には、”脊髄性小児麻痺”と呼ばれることも多い病気です。感染して麻痺が起こると、筋力低下、筋緊張低下及び筋肉萎縮が後遺症として残ります。
日本では1981年以降、野生株(自然に流行しているもの)によるポリオの発症例は報告されていません。しかし世界中ではまだ、パキスタン、アフガニスタン、インド、ナイジェリアの4ヶ国で流行が続いていて、これらの国から日本にウィルスが持ち込まれ、感染する危険性はゼロではありません。実際、これら4ヶ国の周辺では、繰り返しポリオの流行が起こっています。
ポリオに感染した場合、治すための有効な治療薬はありません。ポリオに対する唯一の対処方法は「予防」となります。そのため、世界中の国で現在でも、ポリオワクチンが接種されています。
 
2.ポリオワクチンの種類
世界中で使われているポリオワクチンには、ウィルスは生きているものの毒性を弱めた生ワクチンと、ウィルスを化学処理して感染性や病原性をなくした不活化ワクチンがあります。
日本では3種類(1型、2型、3型)のウィルスを弱毒化・混合した経口生ワクチンが定期予防接種として認可・実施されています。通常は、生後3ヶ月以上90ヶ月未満(標準的な接種時期は生後3ヶ月以上18ヶ月未満)に、41日以上の間隔をあけて2回接種することと定められています。
一方世界の多くの国では、すでに生ワクチンから、不活化ワクチンへと移行しています。現在経口生ワクチンを接種しているのは、日本と北朝鮮、モンゴル、中東、アフリカ、太平洋諸島、中南米のみで、いわゆる「先進国」に該当する国で生ワクチン接種を行っているのは日本だけというのが実情です。
日本でも不活化ワクチンの開発が進んでおり、三種混合とあわせた4種混合ワクチンの治験が進んでいますが、製造承認まであと数年はかかる見通しです。
 
3.それぞれのワクチンの利点・問題点
生ワクチンは、ウィルスの毒性を弱めたものを使っているため、ワクチンからポリオに感染する危険性があります。これをワクチン関連麻痺と言います。日本で最近発生しているポリオは、全てワクチン関連麻痺です。経口接種された生ワクチンは腸で増え、約1ヶ月間便中に排出され続けます。このため、ワクチンを飲んだ子供だけでなく、家族への二次感染も報告されています。特に、昭和50〜52年生まれの両親は1型ウィルスに対する抗体が低いことが分かっていて、二次感染の危険性は留意が必要とされています。
ポリオ生ワクチンによる健康被害と認定されている患者数は、平成20年末現在で138名です。ワクチン関連麻痺の頻度は、添付文書上は約486万接種あたり1人とされていますが、1971〜2000年の日本における危険度は約200万接種あたり1人という報告もあります。またWHOの報告によれば、生ワクチンにより出生100万人あたり2〜4人のワクチン関連麻痺が発生するとされています。2000年1月に米国疾病予防管理センターは、「経口生ワクチンはもはや推奨しない」という文書を公表し、移行期間を経て全て不活化ワクチンにしました。

それぞれの特徴をまとめました。
 生ワクチン不活化ワクチン

 
 
 
・定期予防接種のため、公費負担(無料)
 で接種できる
・注射に伴う痛みがない。
・万が一接種に伴い健康被害が生じた
 場合、国が認定すれば、予防接種法に
 基づく健康被害救済制度により各種補償
 が受けられる。
・軽い下痢や発熱を伴わない上気道炎ならば接種が
 できる。
・ワクチン関連麻痺の危険がない。

 題
 
・下痢の際には接種ができない。
・ワクチン関連麻痺の危険がある。
・ワクチンに関連した麻痺が疑われ
 ながら、国の認定が得られず、補償を
 受けられない症例がある。
・定期予防接種とはならないため、接種は有料となる。
・厚生労働省・経済産業省に申請書を提出し輸入する
 ワクチンだが、日本では未承認のため、万が一接種に
 伴い健康被害が生じた場合、予防接種法に基づく
 健康被害救済制度や独立行政法人医薬品医療機器
 総合機構法による救済が適用されない(ワクチン輸入
 商社による補償制度はあり、万が一障害1・2級に分類
 されるような重篤な副反応や死亡などの健康被害が
 発生した場合、最高2,000万円の補償を受けることが
 できる。ただし、民事裁判により、病院・医師の無過失
 が認定される必要がある)。
・皮下または筋肉注射のため、注射に伴う痛みや
 副反応(発赤・腫れ、神経損傷など)の可能性がある。
・抗生剤のネオマイシン、ストレプトマイシン、ポリミキ
 シンBでアナフィラキシーを起こしたことがある場合
 には接種できない。

   
4.不活化ポリオワクチンの接種方法 (WHOでは、生・不活化にかかわらず4回接種が推奨されて
  います)
 
当院ではCDC (米国疾病予防管理センター)の方式に準じた形で行っています。
 
標準的な接種開始年齢 2ヶ月
 
接種方法1 (すべて不活化ワクチン使用)
(1回目) 初回                       不活化ワクチン
(2回目) 1〜2ヶ月後                   不活化ワクチン
(3回目) (2)〜6〜12ヶ月後               不活化ワクチン
(4回目) 4歳以上 (3回目から6ヶ月以上あけて)   不活化ワクチン
 
メリット  ワクチン関連麻痺の危険性がゼロ
デメリット 費用が高額 (20,000円)
 
接種方法2 (不活化・生ワクチン併用)
(1回目) 初回                       不活化ワクチン
(2回目) 1〜2ヶ月後                   不活化ワクチン
(3回目) 2回目から2〜6ヶ月程度            生ワクチン (定期接種)
(4回目) 3回目から6ヶ月程度〜4才頃         生ワクチン (定期接種)
 
メリット  接種方法1より安価 (10,000円)
デメリット 生ワクチンのみに比較すればワクチン関連麻痺の危険性が下がるが(20分の1以下)、0にはならない。周囲への二次感染の可能性がある。
 
○生ワクチン1回接種済の場合
 ワクチン関連麻痺の85%は初回接種時に起きるので、初回接種時に比較すると麻痺発現の可能性は少ないですが、ゼロではありません。今後、不活化ワクチンを希望される場合は、以下のようなスケジュールでおすすめしています。
(1回目) 初回                       生ワクチン(定期接種、済)
(2回目) 1〜2ヶ月以上あけて              不活化ワクチン
(3回目) 2回目から1〜2ヶ月程度            不活化ワクチン
(4回目) 4歳以上 (3回目から6ヶ月以上あけて)   不活化ワクチン
 
5.当院で使用している不活化ポリオワクチンについて
商品名:IMOVAX POLIO
メーカー:Sanofi Pasteur社(フランス) ヒブワクチンと同じメーカーです。
 
1回5,000円 (消費税込み)です。
 
 接種ご希望の方は事前に小児科外来まで、月・火・木・金の13:00〜16:30に、お電話(0948-22-2980)でご予約ください。
接種日は、月・火・木・金の13:00〜14:30です。
(4/23以降は、火・木・金の13:00〜14:30となります)
 
 なお、現在お問い合わせが殺到し、通常業務に支障をきたしておりますので、御予約以外のお電話はお控えいただきますよう、お願いいたします。