蟹工船とは?
蟹工船とは戦前のプロレタリア文学の偉大な作家として壮絶な一生を終えた小林多喜二 不朽の代表作です。プロレタリア文学とは社会主義や共産主義思想と結びついた文学のことで、当時の政府や警察から迫害を受けていました。小林多喜二は共産党員であり反政府の作品を世に送り出し、その活動などから投獄され29歳の若さで一生を終えています。蟹工船のあらすじをさっとおさらいしてみます。カムチャツカの沖で蟹を獲りそれを缶詰にまで加工する蟹工船「博光丸」が舞台。しかし利益は蟹工船の持ち主である大会社の資本家達に不当に搾取されていました。情け知らずの監督者である浅川は労働者たちを人間扱いせず、彼らは懲罰という名の暴力や虐待、過労と病気で倒れてゆく中、消耗品扱いの過酷で非人間的な労働の中、不法、暴力と脅しに耐えかね、ついに立ち上がった者がいました。しかし待っていたのは国家による徹底的な圧殺だった、という物語です。作者の没後75年にあたる2008年の日本でこの蟹工船の小説本が例年の100倍の勢いで売れるという珍現象がおきました。
今なぜ蟹工船?
では今、この豊かな時代になぜ蟹工船なのでしょうか?蟹工船の読者の多くは10代後半から40代と幅広く、若者、特に就職氷河期世代に人気があるとのことです。就職氷河期世代の人々は派遣社員や契約社員などの非正規雇用の不安定労働者が多く、いわゆるワーキングプアと呼ばれている人々も少なくありません。一流大学を出ても思うような就職ができずに苦しんでいる若者もおり、小林多喜二の訴えたかったものが、今日の若者の現状と通じるものがあるのではないか、と専門家は分析しています。
蟹工船のdvdが人気です。
そんな状況で蟹工船の小説が売れているとはいえ、そこは所詮、活字離れが激しい現代の若者のこと。当然「小説なんて読むのはイヤ!」という人が多いようです。そんな人の為に蟹工船はマンガでも出版されていますが、1953年に映画化された作品のdvdも人気です。監督・主演は山村聡さん。その他の出演者として森雅之さん、日高澄子さん、中原早苗さん、花沢徳衛さん、浜村純さんなどが出演しています。本を読むのはイヤだけど蟹工船は知りたい、という方は是非dvdで小林多喜二の世界に浸ってみて下さい。